埼玉県和光市の及川社会保険労務士事務所

河合塾事件end-of-employment-3

(最3小判平成22年4月27日)

労働条件低下での契約更新に応じず更新されなかったのは違法か?

【概要】
Xは昭和56年から大学受験予備校で非常勤講師として1年間の有期の契約を締結し平成17年まで24年間に
わたり更新をしてきた。Xの担当する授業のコマ数は毎年の出講契約で定められ、講義を行ったコマ数に講義料
単価をかけて講義料を支払われていた。Xの収入はこの塾講師の物のみとなっていた。
この大学受験予備校では受験生からのアンケート結果により講義を評価し次回契約更新の際の判断基準としてい
。平成15年度から平成17年度の3年間のXの評価はかなり低く、かわりに同じ教科を担当している他の講
師の評価は高かった。Xは、平成17年度は週7コマの講義を担当していたが予備校は評価の高い講師のコマ数
を増やし、Xのコマ数を減らすこととし週4コマにした。
Xは従前どおりの契約を希望したが、予備校側はこれに応じず、次年度の更新を希望する場合は週4コマを前提
とする契約書を送信するように通知した。
これに対してXは「週4コマは担当するが、合意に至らない部分は裁判所での労働審判を申し立てた上で解決を
図る」という返答をし契約書の返送はしなかった。
予備校側はこれにも応じず、契約書の返送を再度求め、応じない場合は契約の更新をしない旨を通知した。これ
にもXは返信しなかった為、契約の更新はされなかった。
そこでXは雇用契約上の地位確認、賃金および慰謝料の支払いを求めて訴えを提起した。

【判旨】
 「予備校側とXとの間の出講契約は、期間1年単位で講義に対する評価を参考にして担当コマ数が定められて
いるところ、予備校側が平成18年度におけるXの担当講義を週4コマに削減することとした主な理由は、Xの
講義に対する受講生の評価が3年連続して低かったことにあり、受講生の減少が見込まれる中で、大学受験予備
校経営上の必要性からみて、Xの担当コマ数を削減するという判断はやむを得なかったというべきである。Xの
収入に与える影響を理由にした訴えには応じていないが、兼業の禁止はしていなく、実際に過去、兼業していた
時間があったものを考慮すれば、Xが長時間ほぼ予備校側からの収入により生活してきたことを勘案しても、X
からの申入れに応じなかったことも不当とは言えない。また労働審判を申し立てる条件での申入れに応じなかっ
たことも、非難されるものではないといえる。そして契約の更新をしないと決定するまでの予備校側の対応も
不当な手続きや不適切な説明をしたなどの事情もうかがわれない。以上のような事情の下では平成18年度の
出講契約の締結へ向けた交渉における対応が不法行為に当たるとはいえない。」

【解説】
 この判決は有期の労働契約の更新をする際、労働の条件の低下が発生し、これに労働者が応じなかった場合は
更新拒否となるか解雇の法理の類推適用となるのかが問題になったものです。
皆様の会社の中でも、アルバイトさんやパートさん、または契約社員のような期間の定めのある社員の契約の更新の時に労働条件の変更はあるのではないでしょうか?
変更の理由は様々だと思いますが、条件が下がると働いている方々からは不満がでるでしょう。
だからと言って、従業員さんの顔色を窺って、下げなければならない給料を下げないのも問題だと思います。
会社としては、法律に則った手続きをし、しっかりと従業員に説明するようにしてください。
具体的に会社がとる行動として必要なものは…
・更新時の条件変更をしっかりと明示する。
・普段から“契約が変わらない”といった期待感を与えない。
・契約書などにも条件の変更があり得ることを明記しておく。
以上のようなものがあります。

そして今回の判例の争点でもある“契約の更新の同意ができなく更新しない”場合
及川は解雇には当たらないと考えます。
ですが、契約の更新の努力を会社が行わないと、争いになった場合に問題視される場合があると思います。
契約を更新の際は、しっかりと契約内容の説明と契約の締結の努力をすることが大事だと思います。

この判例の様な状況になってしまう会社は多いのではないでしょうか?
トラブルに発展しないように、普段からの対応をしっかりう行い、もしトラブルになってしまった場合でも対応できるように準備をするようにしてください。

もし、何か不安などがありましたら是非ご相談ください。

会社で対応すべきこと

・契約の更新をしっかりと行う。(形式的に印鑑をもらうだけのようにはしない)
・契約は必ず更新され、契約内容も変わらないといった先入観を与えない。
・契約内容の変化はしっかりと相手に伝え、その条件で契約を結べるよう努力する。(証拠を残しておく)


判例集へもどる
トップページへもどる

お問い合わせ
048-464-3390
(受付/平日9:00~19:00)

メニュー

ページトップへ