埼玉県和光市の及川社会保険労務士事務所

日本マクドナルド事件working-hours-4

(東京地裁平成20年1月28日)

ファーストフード店の店長は管理監督者になるのか?

【概要】

 Xは、ハンバーガー等の販売をするY社に昭和62年2月に採用され、Y社直営店の店長に平成11年10月に昇格している。
Y社では、店長以上の職位の従業員が労働基準法41条2号の管理監督者として扱われ、法定労働時間(労働基準法32条)を超える時間外労働について割増賃金(労働基準法37条)が支払われていなかった。
Xは店長職は管理監督者には該当しないとして、未払いの割増賃金の支払い等を求めて訴えをおこした。

【判旨】

 管理監督者については、労働基準法の労働時間等に関する規定は適用されないが、これは、管理監督者は企業経営上の必要から、経営者との一体的な立場において、所定労働時間を超えて事業活動することを要請されてもやむを得ないものといえるような重要な職務権限を付与され、また、賃金等の待遇やその勤務態様において、他の一般労働者に比べて優遇措置が取られているもので、労働時間に関する規定の適用を除外されても、割増賃金が支払われないなどがあっても、当該労働者の保護に欠けるところがないという趣旨によるものだと言える。
 したがって、Xが管理監督者に当たると言える為には、店長という名称だけでなく以下のような要件を満たす必要があると言える。
Ⅰ、職務内容、権限および責任に照らし、労務管理を含め、企業全体の事業経営に関する重要事項にどのように
  関与しているか
Ⅱ、勤務態様が労働時間等に対する規制になじまないものであるのかどうか
Ⅲ、給与、および一時金において、管理監督者にふさわしい待遇がされているか

Xはどの要件も満たしていない為、管理監督者には該当しない。

【解説】

 今回の判例はいわゆる“名ばかり管理職”についての問題です。
会社の中では“管理職”といわれる役職はかなり広くなっていて、部長や店長だけでなく、係長やライン長というような方々も管理職としている会社もあると思います。
法律上では「こういう人が管理職です」という基準は明確にされていないんですが、行政解釈や判例などで認められるラインが明らかにされています。
①労働条件の決定や労務管理について経営者と一体的な立場にある者
②労働時間等の規制を超えて労働せざるを得ない重要な職務につき、相応の責任を有する。
③賃金等の待遇も責任に応じて優遇されている。
これが管理監督者であると認められるラインだと考えられていますが、これまでの判例などでも管理監督者であると認められた例は正直少ないと感じます。
①から③に挙げたラインはかなり厳しく見られてしまい、これを正しく運用できている会社はなかなか少ないと思います。(管理職とはいえ、経営者との一体的な立場の人間はそうそういない気がします・・・)
今回のケースのような状況で労働者から申し出があった場合は会社にとってかなり厳しい状況になってしまうことが多いので、普段から準備をしていてください。

 労働基準法41条に該当すると“残業代を払わなくていい”ということから気軽に管理監督者に当たる人を作る会社がありますが、非常に危険です。
トラブルになった場合、“管理監督者”と認めさせるのは非常に難しいし、認められるだけの環境を作るのも難しいです。
現在の会社での運用方法を確認し、上に挙げた条件に当てはまらない可能性や、疑問がある場合はできるだけ早めにご相談ください。
素早い対応や、一日でも早い改善が重要な案件でした。

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